コラム2022.10.11

エイジェック vs 神戸弘陵高校

エイジェック 6-5 神戸弘陵高校(延長8回タイブレーク)

 

 

激闘となった決勝戦。エイジェックが延長タイブレークの末に6対5で神戸弘陵高校を下して大会2連覇を達成した。

 

 

 

準決勝に続いて行われた決勝戦。エイジェックは今大会ここまで、横浜隼人高校(8対2)、大阪体育大学(8対1)、九州ハニーズ(2対1)、埼玉西武ライオンズ・レディース(4対0)を下し、両チーム優勝となった前年に続いて2年連続2度目の決勝進出。対する神戸広陵高校は、ハナマウイ(8対1)、平成国際大学(6対4)、ゴールドジム(4対0)、阪神タイガースWomen(3対2)で2度のタイムブレークの修羅場を快進撃でくぐり抜けながら辿り着いた初の決勝舞台となった。

 

 

試合は初回から大きく動いた。エイジェックが1回表、2四死球で1死1、2塁となった場面で4番・辻野玲奈がファースト強襲のタイムリーで1点を奪うと、さらに5番・磯部舞弥がライト線を破るタイムリー3塁打。7番・斎藤さやかにもタイムリーが生まれ、初回に4点を先制。その裏に1点を失ったが、3回表に2死3塁から斎藤がうまくセンターへ弾き返し、2打席連続となるタイムリー。再びリードを4点に広げると、先発の永田聖佳が3回1失点の後、2番手・小野寺佳奈が登板して5回まで5対1のスコアで試合を進めた。

 

 

だが、試合はこのままでは終わらない。神戸弘陵は1回裏に4番・島田羽菜のタイムリーで1点を返した後、2番手の樫谷そらが粘りのピッチングを見せ、守備陣も懸命なプレーで相手の攻撃を1点のみに抑えて耐え凌ぐ。そして6回裏、相手エラーから四球と島田の2本目のヒットで無死満塁のチャンスを掴むと、内野ゴロの間に1点を奪った後、6番・安藤蓮姫がレフトの頭上を越える2点タイムリー2塁打。さらに8番・田野井惇が左中間へ落ちるタイムリー2塁打を放ち、この回4点を奪取。試合を5対5の振り出しに戻した。

 

 

 

7回はエイジェックが1死満塁、神戸弘陵が2死1、3塁のチャンスを作りながらも無得点で試合は延長戦へ。今大会初のタイブレークとなったエイジェックは、9番・湯浅紗恵がしっかりと犠打を決めた後、1番・阿部希の犠牲フライで1点。対して、今大会3度目のタイブレークとなった神戸弘陵は、犠打を試みるも2ストライクと追い込まれた後にエンドランを試みるも三振ゲッツーで万事休す。最後はエイジェックの3番手・小松圭保が気迫のこもったピッチングで試合に終止符を打った。

 

 

前回優勝したチームから多くの主力退団。今年は「新生」をチームスローガンとして“新しいチーム”を作り上げてきたエイジェック。試合後、涙するナインたちを前に「泣くつもりはなかったんですけど…」と目頭を押さえた小林茂生監督は「油断していたわけではないんですけど、神戸弘陵さんは手強かったです」と振り返りながらも「新しいエイジェックの野球をみんなで作って行こうということでここまでやってきた」という中で掴んだ優勝に感無量の表情。今年の野球を継続しながらも、来年へ向けての「進化」に自信を見せた。

 

 

敗れた神戸弘陵高校は、今春の選抜大会で準優勝も夏連覇を狙った選手権は大会途中でコロナ禍によって棄権。それだけに「夏にグラウンドで引退できなかったので、準優勝でしたけど、ここで引退できて良かった」と石原康司監督も納得の表情。「恐れるものはない」と常に全力野球で勢いに乗り、次々と年上かつ格上のチームを打ち破って台風の目となった戦いは見事。彼女たちのフレッシュな笑顔が、秋の松山を華やかに彩った。